こんにちは。愛知つのだ産業医事務所株式会社の産業医角田拓実です。
今回は最近増えているオンライン対応のみの産業医のデメリット・採用する際の注意点に関して説明を行います。
オンラインは非常に有用な方法ですが、会社としてのリスクもはらんでいるためぜひチェックしておきましょう。
オンラインで産業医を活用するメリット・デメリット
オンラインで産業医を活用するメリットは前述しましたように利便性が高いことでしょう。
必要な際に連絡を取り、オンライン会議にて面談を行うことができるため移動コストや時間がかからないため全体での価格感を抑えることが可能です。
一方で担当産業医が付かないオンラインでの産業医面談も存在しており、引継ぎがあったとしても情報量が低下したり・従業員から「なぜか毎回違う先生」といった印象を与えてしまう可能性があります。
また、大きな問題点としては「復職対応面談」での対応が挙げられます。
オンラインスポット面談という形態で復職対応を行った際の問題点として「職場の業務内容や雰囲気が分かっていない」状態での復職判断、「復職不可と判断した際に主治医と連携を取りづらい」といった点、「復職を制限付きで行った際のアフターフォロー・制限解除」を誰がするのか問題などがよく業界内では話題になります。
また、場合によっては事例のサマリーと診断書を頂いた後に担当者との情報交換が行われないまま面談が実施されることも場合によっては存在し、どこまでの制限が会社として許容できるのか?という疑問が発生するケースも存在するようです。
産業医は会社に対して「意見提出」という形なので絶対にダメだということではありませんが、産業医面談を行ったという事実のために実施するということは避けた方がよいかと考えます。
とくにメンタル疾患での対応は直接お会いして面談を行うと情報量や本人との親和性が低下するためより注意が必要です。
法令上の巡視はどうする?
産業医は50人以上の事業場で選任された場合は職場巡視の義務が存在します。
月1回ないしは条件を満たした場合2月に1回職場巡視を行うことになっています。
オンラインだけでの契約を行った場合は職場巡視が実施されない場合もあり注意が必要です。
一般的な産業医仲介企業では職場巡視が実施されないケースは少ないですが、仲介事業者にせよ医師会にせよ個人にせよ契約前は必ず「職場巡視を行えるか?」を確認していただくようにしていただくとよいでしょう。
「職場巡視は行わない」「オンライン対応のみ」言われてしまった場合はどうしても「名義貸し」という印象が強くなってきてしまうため契約には注意したほうがよいでしょう。
もちろん事業場での従業員数が50人未満の場合は職場巡視自体の義務はありませんので「顧問の産業医」というような立ち位置で契約することは問題ありません。
実際に50人未満の事業所でのオンラインサポート契約の産業医は少しずつ増えて消えいます。職場での健康問題に関して意識が高まっていることも要因の一つでしょう。
まとめ
産業医面談をオンラインのみで実施することはメリットとデメリットが存在します。
特に復職に関わる面談でのフォローアップ体制は担当産業医・担当仲介会社とすり合わせを行っておくべきでしょう。
また、50人以上の従業員がいる事業場では産業医巡視が必須ですので必ず実施の有無を確認しておきましょう。
愛知つのだ産業医事務所株式会社 産業医 角田拓実