新社会人として、希望に満ちたスタートを切ったあなたも、慣れない環境や仕事に、心身の疲れを感じ始めている頃かもしれません。 厚生労働省の調査によると、メンタルヘルスの不調で休職する人は年々増加傾向にあり、特に若い世代での増加が目立ちます。 あなたの会社には、社員の健康を守る「産業医」がいますか? 実は、産業医は、健康診断の結果を見るだけでなく、職場環境の改善やメンタルヘルス対策など、幅広く私たちの健康をサポートしてくれる存在です。 この記事では、産業医ができることについて解説します。 自分の健康を守り、安心して働き続けるために、ぜひこの記事を読んでみてください。

新入社員の健康管理に産業医が果たす役割とは

新社会人の皆さん、おめでとうございます!希望に胸を膨らませている一方で、新しい環境での生活は、ワクワクするだけじゃなく、ちょっぴり不安もつきものですよね。慣れない仕事、人間関係、それに加えて、新しい生活リズムや食生活の変化…。 慣れないことばかりで、気づかないうちに心身に負担がかかっているかもしれません。 企業にとっても、せっかく採用した新入社員に早期に離職されてしまうことは、大きな損失です。 そこで、新入社員の皆さんの健康を守るために仕事をしている存在が産業医です。

産業医とは?

産業医って、どんなお医者さんだろう?と疑問に思った人もいるかもしれませんね。 例えば、学校でみんなの健康を守るために保健室の先生がいるように、会社では、働く人たちの健康を守るために産業医がいます。 従業員50人以上の会社では、労働安全衛生法という法律で、産業医の選任が義務付けられています。 産業医は、会社の労働環境や仕事内容を把握した上で、労働者の心身の健康を守るための活動を行います。

新入社員の健康管理の重要性

では、なぜ新入社員の健康管理が大切なのでしょうか?それは、新入社員の皆さんが、会社にとって、そして社会にとって、とても大切な存在だからです。 新入社員の皆さんが、元気に、そしていきいきと活躍してくれることが、会社を大きく成長させ、ひいては、社会全体を元気にする力になるのです。

例えば、新しいゲームソフトを作る会社があったとします。新入社員のゲームクリエイターが、もしも体調を崩してしまったら、せっかく面白いゲームのアイデアを思いついたとしても、形にすることができなくなってしまいますよね。 そうならないためにも、新入社員の皆さんには、健康で、長く活躍し続けてもらうことが、とても重要なんです。 企業は、新入社員が安心して仕事に取り組めるよう、健康管理に力を入れる必要があります。

産業医ができることとは?

では、具体的に産業医は、どんなことをしてくれるのでしょうか?

新入社員の皆さんが、安心して仕事に集中できるように、産業医は、様々な面からサポートをしてくれます。

  • 定期健康診断: 単に健康診断の結果をみて、皆さんの健康状態をチェックするだけではありません。健康診断で著しい異常が認められた従業員がいた際は産業医は企業に労働時間の削減を意見することができます。
  • メンタルヘルス: 新しい環境での生活は、楽しい反面、ストレスも溜まりがちです。産業医は、皆さんの心のケアも行ってくれます。新入社員のメンタルヘルス不調の兆候を早期に発見し、適切な対応をすることで、症状の悪化や休職、離職を予防することができます。
  • 職場環境のチェック: 職場環境が、皆さんの健康に悪影響を与えていないか、産業医は、会社全体に目を光らせてくれます。例えば、長時間労働やパワーハラスメントが横行している職場に対しては、改善を促すことができます。

このように、産業医は、皆さんが健康で、そして安心して仕事に取り組めるように、様々なサポートをしてくれる、まさに「職場の健康を守る専門家」と言えるでしょう。 新入社員の皆さんは、産業医を頼りになる味方だと思って、気軽に相談してみましょう。

新入社員の健康管理に産業医が関与するメリットと事例

新社会人として、希望に胸を膨らませて新しい環境に飛び込む人も多いでしょう。しかし、環境の変化や新しい人間関係、慣れない仕事など、今まで経験したことのないストレスに直面し、体調を崩してしまう人も少なくありません。

企業にとって、新入社員が安心して仕事に取り組める環境を整え、健康を維持することは、従業員の定着率向上や生産性向上に繋がります。そこで重要な役割を担うのが産業医です。 新入社員の健康問題は、放置すると、うつ病などの精神疾患を引き起こし、最悪の場合、過労自殺に繋がってしまう可能性もあります。企業は、このような事態を防ぐために、産業医と連携し、新入社員の健康管理に積極的に取り組む必要があります。

産業医に相談するメリットとは?

産業医は、労働者の健康を守る専門家として、医学的な知識や豊富な経験に基づいたアドバイスを提供してくれます。 新入社員にとって、右も左もわからない職場で、自分の体調不良や悩みを誰に相談すれば良いのか迷うこともあるでしょう。気軽に相談できる上司や先輩がいればいいですが、中には相談しにくい雰囲気の職場もあるかもしれません。

産業医は、会社と従業員、両方の立場を理解した上で、中立的な立場で相談に乗ってくれます。  産業医は、労働者の健康を守る立場から、会社に対して労働環境の改善などの意見を述べることもできます。

新入社員が産業医に相談できる事例

具体的に、新入社員は、どのような悩みを産業医に相談できるのでしょうか? 例えば、

  • 新しい仕事内容や職場環境になかなか馴染めず、ストレスを感じている。
  • 上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、悩んでいる。
  • 仕事量の多さや残業時間の増加により、体調を崩してしまった。
  • 会社の健康診断で、再検査や要精査の結果が出たが、どうすれば良いかわからない。

上記のような場合、産業医に相談することで、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

産業医が果たした役割と解決した事例

では、実際に産業医が新入社員の健康管理において、どのような役割を果たし、問題を解決した事例を紹介しましょう。

1. 長時間労働による体調不良

ある企業では、新入社員に多くの仕事を任せてしまい、長時間労働が常態化していました。その結果、体調を崩してしまい、休職せざるを得ない新入社員も出てしまいました。 そこで、産業医が介入し、会社の労働時間管理を見直し、業務の効率化を提案しました。具体的には、新入社員の業務内容を見直し、優先順位の低い業務を減らす、業務マニュアルを作成し、新入社員が一人で抱え込まないようにする、などの提案を行いました。 その結果、従業員の労働時間が減少し、体調不良を訴える新入社員も減りました。

2. 職場環境への適応とメンタルヘルス対策

別の企業では、新入社員が新しい環境に適応できず、メンタルヘルスの不調を訴えるケースが多く見られました。 産業医は、ストレスチェックを実施し、新入社員のメンタルヘルス状態を把握しました。ストレスチェックとは、労働者のストレスの状態をチェックするもので、労働安全衛生法に基づき、従業員50人以上の事業場では、年に1回、ストレスチェックを実施することが義務付けられています。 その上で、新入社員向けのメンタルヘルス研修を実施したり、個別カウンセリングを行うなど、きめ細かい対応を行いました。メンタルヘルス研修では、ストレスをため込まない方法や、ストレスに対処する方法などを具体的に教えています。 その結果、新入社員のストレスレベルが低下し、職場に馴染んで活躍できるようになりました。

このように、産業医は、新入社員の健康を守る上で、重要な役割を担っています。新入社員は、産業医を頼り、安心して仕事に取り組める環境を築いていきましょう。

産業医に相談するための手続きや方法

産業医に相談するための手続き

会社によって、産業医への相談窓口や手続きは異なります。まずは、会社のルールを確認しましょう。 会社のホームページ、社内イントラネット、就業規則などを確認したり、人事部や所属部署の先輩に聞いてみましょう。

1. 相談窓口の確認 会社によっては、産業医に直接連絡するのではなく、人事部や健康管理室といった窓口を通して相談するケースもあります。 まずは、どこに相談すれば良いのかを確認しましょう。 窓口がわからない場合は、直属の上司や先輩、人事部に相談してみましょう。

2. 相談内容を事前に整理する

産業医は、どんな悩みにも真剣に耳を傾けてくれます。 しかし、相談内容を事前に整理しておくことで、よりスムーズに相談を進めることができます。

例えば、

  • どんな時に、どんな症状が現れるのか?
  • どのくらいの期間、症状が続いているのか?
  • 改善のために、どんなことを試したのか?
  • どのような職場環境で悩んでいるのか?
  • 人間関係で困っていることは具体的にどんなことか?

などをメモしておくと、簡潔に、かつ具体的に状況を伝えることができます。

3. 必要な書類を確認する

相談内容によっては、健康保険証や病院でもらったお薬手帳などが必要になる場合があります。 事前に確認しておきましょう。 過去の健康診断の結果や、健康に関する記録があれば、持参するとスムーズな情報共有に役立ちます。

産業医に相談する方法と注意点

産業医への相談は、基本的に面談や電話で行われます。

1. 面談での相談

産業医と直接会って相談することができます。 緊張するかもしれませんが、自分の言葉でじっくりと悩みを伝えることができますし、直接質問もしやすいでしょう。 会社の会議室や、産業医が常駐している部屋など、安心して話せる環境が用意されていることが多いです。

2. オンラインでの相談

直接会うのが難しい場合は、ZOOMといったオンラインで相談することが可能な場合もあります。 仕事が忙しくてなかなか時間が取れない場合や、緊急性の低い相談をしたい場合に便利です。こちらも人事担当者に相談をしてみることも一つの手です。

相談する際の注意点

  • 正直に、ありのままを伝えるようにしましょう。 遠慮なく、自分の状況や気持ちを伝えることが大切です。
  • わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく質問しましょう。 産業医は、皆さんの疑問や不安を解消するために、丁寧に説明してくれます。

まとめ

新入社員にとって、新しい環境での仕事は、心身に負担がかかりやすいものです。 企業は、新入社員が安心して働き続けられるよう、産業医による健康管理体制を整えることが重要です。 産業医は、定期健康診断やメンタルヘルス相談、職場環境のチェックなどを通じて、新入社員の健康をサポートします。 新入社員は、産業医を頼り、自身の健康を守りながら、新しい仕事に挑戦していきましょう。

産業医/健康経営エキスパートアドバイザー 角田拓実