産業医とは何か

皆さんは「産業医」というお医者さんを知っていますか?
会社で働く人たちの健康を守る、いわば「職場の健康の守り人」です。

例えば、皆さんが学校で毎日元気に過ごせるように、先生や養護教諭の先生がいますよね? 先生は勉強を教えてくれ、困ったことがあれば相談に乗ってくれます。養護教諭の先生は、怪我や病気のときに対応してくれるだけでなく、健康診断を通して皆さんの成長を見守ってくれています。

産業医も同じように、働く人たちが毎日元気に、そして安心して仕事ができるように、様々な面からサポートしてくれる存在なのです。

産業医の役割と職務内容

では、産業医は具体的にどんなことをしているのでしょうか?

皆さんが毎年受ける健康診断のように、働く人たちも定期的に健康診断を受けます。産業医は、その結果を見て、働く人たちが健康に過ごせているか、何か病気のサインが出ていないかをチェックします。もし、体の不調や気になることがあれば、産業医に相談することもできます。

また、仕事で疲れてしまったり、ストレスを感じてしまったりする人もいますよね。中には、仕事とプライベートのバランスに悩んでしまう人もいるかもしれません。そんな時にも、産業医は相談に乗ってくれます。

さらに、産業医は職場環境のチェックも行います。例えば、職場の温度や湿度、照明などが適切かどうか、働く人が快適に過ごせる環境かどうかなどを確認し、より働きやすい職場環境を作るために、会社にアドバイスをすることもあるのです。

このように、産業医は働く人たちが安心して快適に仕事ができるように、様々な面からサポートしています。

産業医の資格と専門性

産業医になるためには、医師免許を取得した後に、さらに専門的な講習を受ける必要があります。この講習では、働く人の健康に関する知識や、職場環境の改善方法などを学びます。つまり、産業医は医師免許に加えて、働く人の健康を守るための専門的な知識とスキルを持ったプロフェッショナルなのです。

例えば、風邪を引いたときに、皆さんは病院に行って、お医者さんに診てもらいますよね?
同じように、働く人たちの健康を守るためには、専門的な知識を持った産業医が必要とされているのです。

産業医が所属する企業について知る

産業医は、企業に所属している場合と、外部の機関に所属している場合があります。

企業に所属している産業医は、特定の企業の従業員の健康管理を担当します。会社の規模が大きくなるにつれて、面談が必要な従業員も多くなるため、産業医の活動時間も増える傾向にあります。

一方、外部の機関に所属している産業医は、複数の企業と契約し、それぞれの企業の従業員の健康管理をサポートします。どちらの場合も、産業医は、働く人たちが健康で快適に仕事ができるように、様々な活動を行っています。

例えば、学校の規模が大きくなればなるほど、先生たちの仕事も増えますよね? 産業医も同じように、担当する会社の規模が大きくなるにつれて、より多くの人の健康を守る必要があり、活動量も増えるのです。

産業医に相談できる内容と範囲

皆さんは、職場での健康について、誰に相談したら良いか迷ったことはありませんか?「ちょっと体調が悪いけど、病院に行くほどでもないかな…」と一人で悩んでいませんか?そんな時こそ、職場の健康相談窓口である「産業医」の出番です!

産業医に相談できる健康問題と病気

産業医は、働く人たちの健康を守るために、風邪やインフルエンザなどのありふれた病気から、仕事が原因で起こる体の不調、心の悩みまで、幅広い相談に乗ってくれます。

例えば、こんな時、一人で悩まずに産業医に相談してみましょう。

  • 「毎日パソコン作業で目が疲れて、肩こりもひどいんです…」 → 産業医は、あなたの職場環境や作業内容を踏まえ、適切なアドバイスや改善策を提案してくれます。もしかしたら、作業姿勢の改善や、目の疲れを軽減するストレッチなどを教えてくれるかもしれません。
  • 「最近、仕事でミスが多くて、なかなか寝付けないんです…」 → 産業医は、あなたの話を丁寧に聞いてくれ、ストレスの原因を探りながら、適切な対処法を一緒に考えてくれます。場合によっては、専門医への受診を勧めることもあります。
  • 「糖尿病と診断されたけど、治療しながら仕事を続けられるか不安です…」 → 産業医は、あなたの病気の状態や治療方針などを考慮し、仕事内容の調整や治療と仕事の両立に関する相談に乗ってくれます。

その他にも、

  • 腰痛や肩こりなど、慢性的な体の痛み
  • ストレスや不安、気分の落ち込み
  • がんや糖尿病などの生活習慣病
  • 仕事と治療の両立に関すること
  • 職場環境の改善に関すること など、健康に関することなら何でも相談できます。

産業医に相談する方法と手順

相談の方法は、会社によって異なりますが、一般的には以下のいずれかの方法があります。

  1. 人事部や総務部などの担当部署に問い合わせる
  2. 会社の健康相談窓口に連絡する

相談する際には、以下の点を具体的に伝えられるようにしておくと、よりスムーズに相談が進みます。

  • 具体的な症状や困っていること(例:いつから、どのくらいの頻度で、どのような時に症状が出るのかなど)
  • 症状が出始めた時期
  • 症状が悪化するタイミングや状況

産業医は、皆さんの話を丁寧に聞いてくれ、適切なアドバイスや治療、必要であれば職場環境の改善などのサポートをしてくれます。

「なんだか体調が優れない」「仕事でストレスを感じている」「病気と仕事の両立が不安」 そんな時は、一人で抱え込まず、まずは会社の産業医に相談してみましょう。

産業医は、皆さんが健康に、そして安心して働き続けられるよう、様々な面からサポートしてくれる心強い味方です。

産業医の役割と職務内容

健康診断とその結果に基づく措置

健康診断は、皆さんが普段学校で受けているものと似ていますね。身長や体重を測ったり、血液検査や尿検査をしたりしますよね。 会社で働く大人にとっても、健康診断はとても大切なんです。産業医は、皆さんが受けた健康診断の結果を見て、健康状態に問題がないか、例えば、生活習慣病の心配がないかなどをチェックしてくれます。 もし、健康診断の結果で気になることがあれば、産業医が皆さんに、どんなことに気をつけたら良いのか、どんな治療を受けたら良いのかなどを教えてくれます。 例えば、健康診断で少し血糖値が高かった人には、食事の内容や運動についてアドバイスをくれたり、必要があれば病院を紹介してくれたりします。 さらに、健康診断の結果から、従業員全体の健康状態や傾向を分析し、健康リスクの高い部署や職種を特定します。その上で、健康増進のための施策を会社に提案します。 例えば、長時間労働が多い部署には、業務改善や休暇取得の推奨などを促したり、運動不足が懸念される部署には、オフィスでの運動機会の提供や運動習慣に関するセミナーなどを提案したりします。

治療と仕事の両立支援

もし、皆さんの家族が病気になってしまって、お仕事と治療の両立が難しくなってしまったらどうしますか? 産業医は、そんな時にも、皆さんの家族が安心して治療を受けながら、仕事を続けられるようにサポートをしてくれます。 例えば、お医者さんと相談して、仕事の内容を少し軽くさせてもらったり、仕事の時間を短くさせてもらったりできる場合があります。 また、病気の症状によっては、会社まで行くのが難しい場合もあるかもしれません。そんな時には、産業医が会社と相談して、在宅勤務ができるように調整してくれることもあります。 例えば、重い病気で治療を受けながら働く従業員には、医師と連携して、治療の状況や副作用の出方などを考慮し、就業時間の調整や休暇取得の推奨、作業環境の調整などを行います。 また、上司や同僚への病気に関する情報提供の範囲や方法について、従業員と相談し、プライバシーに配慮しながら、働きやすい環境づくりを支援します。

ストレスチェック制度と長時間労働者への対応

会社で働く大人の中には、仕事でストレスを感じてしまったり、長い時間働かなくてはいけなかったりする人もいます。 産業医は、そんな人たちが、心や体を壊してしまう前に、早めにサポートできるように、色々な取り組みを行っています。 例えば、年に一度、働く人たちみんなに、ストレスに関するアンケート調査を実施して、ストレスを溜め込んでいる人がいないかを確認しています。 また、長い時間働いている人に対しては、個別に面談を行って、健康状態に問題がないかを確認したり、仕事の量を調整するなどの対策を検討したりしています。 産業医は、ストレスチェックの結果に基づき、高ストレス者に対しては、医師による面接指導を実施します。 その際、ストレスの原因や症状、対処法などを詳しく聞き取り、必要があれば、医療機関への受診を勧めたり、休養を促したりします。 また、長時間労働者に対しては、産業医は、会社に対して、労働時間の削減や休暇取得の促進など、労働環境の改善を働きかけます。 さらに、長時間労働が常態化している職場環境では、従業員が疲労を自覚しにくく、健康障害のリスクが高まることを踏まえ、産業医は、従業員一人ひとりの健康状態や労働状況を把握し、適切な健康管理指導を行うとともに、会社に対して、労働時間管理システムの導入や業務分担の見直しなど、組織全体の労働環境改善を提案します。

産業医の役割と職務内容

職場巡視の目的と方法

産業医の活動のひとつに、「職場巡視」があります。 職場巡視って何か、具体的な例を挙げてみましょう。

例えば、みなさんの教室を想像してみてください。 机の高さは合っていますか? 椅子は座りやすいですか? 照明は明るすぎたり、暗すぎたりしませんか? 窓が開けられて、換気はしっかりできていますか?

職場巡視では、産業医はみなさんの教室を回るように、実際に職場に行って、働く環境をチェックします。 温度や湿度、騒音、照明などが適切かどうか、転倒や落下などの危険はないか、など、様々な視点から観察します。

さらに、働く人の様子も観察します。例えば、パソコン作業が多い職場なら、姿勢が悪くなっていないか、目を酷使していないか、チェックします。工場で働く人なら、重いものを持ち上げて腰を痛めそうな作業をしていないか、注意深く見守ります。

そして、もし問題があれば、会社に改善を提案します。 例えば、パソコン作業が多い職場なら、定期的にストレッチ体操をする時間を作ったり、目の疲れを軽減するパソコン用メガネを支給したりすることを提案します。工場なら、作業台の高さを調整したり、クレーンなどの設備を導入したりするよう提案します。

このように、産業医は職場環境を改善することで、働く人たちがより安全で快適な環境で働けるようサポートするのです。

衛生委員会への参加と役割

会社の中には、「衛生委員会」というものが設置されています。これは、会社の働く環境をより良くするための会議のようなものです。

衛生委員会には、会社側の人だけでなく、労働者の代表や産業医も参加します。 産業医は、医師としての専門知識を活かして、健康診断の結果や職場巡視で発見した問題点などを報告したり、改善策を提案したりします。

例えば、健康診断で、ある部署の人たちの血圧が高い人が多いという結果が出たとします。 産業医が職場巡視をした結果、その部署は残業が多く、深夜までパソコン作業をしている人が多いことがわかりました。

衛生委員会では、これらの情報をもとに、残業を減らすために業務内容を見直したり、仕事の効率を上げるための研修を実施したりといった対策を検討していきます。

また、深夜の残業がどうしても発生する場合は、仮眠を取るための休憩スペースを設置したり、睡眠の質を向上させるためのセミナーを開催したりするなどの対策も考えられます。

このように、産業医は衛生委員会に参加することで、労働者がより健康に働ける環境作りに貢献しているのです。

愛知つのだ産業医事務所株式会社 産業医 角田拓実