こんにちは愛知つのだ産業事務所株式会社の産業医角田拓実です。

今回は労働安全衛生法に詳しくない産業医を選任することのリスクに関して説明を行っていきます。

ルールを知らないでなんとなく産業医を行う先生も少なくないので選任の際の参考にしていただければ幸いです。

そもそもなぜ労働安全衛生法に詳しくない産業医がいるのか?

労働安全衛生法は産業医が会社に対して正しいルールやリスク管理を行うための基準になる法律です。

しかしながら、この法律をあまり把握していない産業医の先生が少なくないことも事実です。

これには理由があります。

多くの産業医は試験ではなく講習会の受講によって産業医資格を得ているためなかなか主体的に法律に関して学ぶ機会が多くありません。

労働安全衛生法はその本文だけでなく労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則そして各有害業務に関する特別則と多くの条文で形成されているためどうしても時間がとれない場合があるのです。

実際産業医の多くは病院で勤務する傍らや地域の開業医の先生が行っていることも多いため専門科目のアップデートが優先されていることも理由の一つでしょう。

ルールを知らなければ対策ができない

しかしながら、労働安全衛生法をしらなければどこまでが最低限会社に求められる基準なのかがわかりません。

有害物質の管理はどこまで対応すればよいのか?長時間残業面談はどのタイミングで必要なのか?ストレスチェックのルールは?健康診断の判定はいつまでにやればいいのか?

こういった知識を逐次現場に応用しクライアント企業を支援するのが産業医の仕事の一つなのです。

会社としてのリスクは?

労働安全衛生法に関して詳しくない産業医を選任する会社にとってのリスクはどうでしょうか?

これは明確に会社にとってリスクがあります。

労働安全衛生法の実施主体者は基本的に会社自身となっています。

つまり、違反や問題がある際に指摘を受けるのは担当産業医ではなく企業自身だということです。

この点は注意しておく必要があります。

産業医を選任しているのに「言っていたことと違う」「指摘してくれなかった」といった事態の責任は会社が負わなければなりません。(もちろんその結果を前提に契約解除などもあると考えられます。)

労働安全衛生法に詳しい産業医の探し方は?

労働安全衛生法に詳しい産業医の探し方としては産業医をメインで行っている医師を探すことがオススメです。

産業医メインの仕事ですので労働法に関して習得している可能性が高いです。

その他の選択肢としては産業医資格の一つである「労働衛生コンサルタント」を持った医師を選任することです。

労働衛生コンサルタントは労働安全衛生法が筆記試験で問われる国家資格ですので法律をしっかりと把握していることが多いです。

私自身も労働衛生コンサルタントですので国家試験を通じて学ぶことで労働安全衛生法の修得に役立ちました。

今回の記事を参考に産業医選任する際の一要素に労働安全衛生法の知識があることを知っていただければ幸いです。

愛知つのだ産業事務所株式会社 産業医 角田拓実